CKD保存期と活性型VD -EBMとNBM-

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湯浅 健司
(高知高須病院)


私が、活性型VD治療に関わったのは、1989年頃経口ROCパルス療法が報告されてからでしたが、残念なことに高Ca高P血症などの副作用や治療効果の限界など、また2000年、静注VD製剤が登場してきたことで、その後、経口パルスから静注パルス治療へと変遷してきました。しかし私は今も、軽度から中等度SHPTに、経口ROCミニパルス治療を選択肢の一つとして行っています。cost effectiveでもあり治療効果も含め再評価してみたいと思っておりますが、いかがでしょうか。ところで以前、JDAVID世話人のS先生から、関連病院では、透析患者において風邪にもVD投与するというお話をお聞きし、なんとなくなるほどと妙に納得した自分を記憶しています。活性型VDの多面的有用性をすでに臨床現場の中で見通していたのでしょう。素晴らしいと思います。
さて、透析導入時、既にCVDができあがっており、高度の冠動脈疾患を合併している、また高度SHP合併も報告され、CKD保存期からのCVD,SHPT対策がこれからの重要な課題であると考えられます。活性型VDの多面的作用が報告されてきており、透析導入以前の保存期から、集学的治療の一環として、活性型VDが、SHPT進行抑制はもちろん、腎機能低下抑制をも含めた臓器保護(心、腎、血管)、生命予後改善へのkey drugとしての役割が期待されるところです。
ところで、最近、科学的なデータに基づいた医療であるEBMの重要性に加えて、医療における両輪としての、NBM(narrative based medicine) 即ち物語に基づいた全人的医療の重要性が指摘されています。NBMは患者との対話の中から病気の背景や人間関係を理解し、アプローチすることで身体的のみならず、精神・心理的・社会的に全人的な医療を提供していこうという姿勢であります。一方、医療現場にあっては、患者数をこなさなければならない診療体制にあり、患者の話にじっくり耳を傾け傾聴し(listen for stories)、医療に結びつけるといったNBMの実践は相当困難ではあります。しかしながら、患者の治癒(cure and care)に向けてNBMを理解し実践することは、医療者患者双方にとても大切なことであるとともに、今後EBMにおける量的研究のみならずNBMからの質的研究の発展が重要な課題になるのではないかと感じています。
最後になりましたが、今回、J-DAVID研究が透析患者の血管性および非血管性イベント抑制へむけて、本研究から素晴らしいEBMが発信できることを楽しみにしています。