新たなイノベーションに向けて

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山川 智之
(仁真会白鷺病院 仁真会理事長)


日本の透析医療は、先人の熱意と努力、そして右肩上がりの経済状況に支えられた社会保障政策の下、独自の発展を遂げてきました。現在、全国約4000の透析施設により、透析患者はどこに住んでいても、ほぼ均質な通院透析医療を受けることができます。しかしその充実した透析医療体制を支えてきた社会保障制度は、出口の見えない低迷する経済状況で変革を迫られているのが実情です。
致死的疾患である末期慢性腎不全を、社会復帰できるまでに回復させるに至った透析医療の進歩ははまさにイノベーションと言っていいものです。しかし、透析医療が普遍的な医療となり黎明期における先進性を失っていく中で、透析医療者が目指すべき新たな地平は、医療費削減の圧力とも相まって、混沌としているように個人的には感じています。
J-DAVIDプロジェクトの素晴らしい所はシンプルな仮説を、偏りのないオールジャパンの施設が参加して証明するところにある、と私は考えます。参加施設には我々のような民間施設も多数含まれます。透析臨床の最前線である民間施設と臨床を理論的に支える大学病院などの基幹病院のコミュニケーションと連携なくして、今後の透析医療の発展は望めません。
J-DAVIDは厳しい環境が取りまく日本の透析医療において、医師主導で行う画期的な大規模な臨床研究であり、単にその成果によるイノベーションだけでなく、これからの日本の透析医療を築いていくための、志ある医療者の結集の象徴としても、大きく期待しております。
このような素晴らしい研究に参加できることに感謝し、微力ながらその成功に向けて努力させて頂く所存です。