ビタミンDと二次性副甲状腺機能亢進症治療

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武 本 佳 昭
(大阪市立大学泌尿器科)


私が透析医療に携わるようになってほぼ30年が過ぎた。初期の透析治療でいうと腎性貧血との戦いが中心であった。実際に私が透析患者さんを診だしたころは月1-2回輸血をしながらヘマトクリット値(HT)は15-19%程度の患者さんが多数おられた。実際に大阪府下の患者さんのHTを検討した報告ではHT30%以上の患者さんは全体の1%であった。
もちろんその当時はESA製剤がなく、アンドロゲン製剤などを使用しながら経過を見ていたわけであるが、患者さんは現在の患者さんと比較にならないぐらい元気のない状態であった。1989年にESA製剤が発売されると環境は劇的に改善し、現在ではHT30%以上の患者は60%を超えているような状態になっている。一つの製剤の影響の大きさを痛感することができた。
二次性副甲状腺機能亢進症の治療においても、その当時は内服のビタミンD製剤しかなく、外国で報告されていた静注ビタミンDパルス療法をまねて経口製剤でビタミンDパルス療法を施行していたが、副甲状腺ホルモン抑制効果の割には高Ca血症をきたしやすく、うまくコントロールできない患者さんが多数おられました。静注用のビタミンD製剤が発売された際にはこれで二次性副甲状腺機能亢進症はかなり克服されるという希望を持ちましたが、やはり高Ca血症などの副作用でコントロール困難な症例もまだ残っていました。 実際にはシナカルセト発売以後の副甲状腺摘出術必要症例は1/6に減少し、二次性副甲状腺機能亢進症はコントロール可能になってきましたが、多くの症例でビタミンD静注薬との併用によって二次性副甲状腺機能亢進症が克服できるようになったと考えられる。
J-DAVID試験とは透析患者さんにとって「ビタミンDが長寿ホルモン」かどうかを検証するための無作為化比較試験であるのですが、私にとってはビタミンD が透析患者の予後まで左右する非常に重要な薬剤になってきていることは非常な驚きであり、今後の透析療法を展望できるような結果を期待しております。