気がつけば18年

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辻本 吉広
(蒼龍会 井上病院)


医学部6年の時に将来は内科医になると決めたものの、内科のどの分野にも興味があり内科疾患全般をみられるようになるにはどの医局に入局するべきかと思案した。その時に母校大阪市立大学の第二内科の入局説明会で、第二内科は代謝・内分泌、腎臓、リウマチ、骨粗鬆症など多岐にわたる疾患を専門としていること、これらの疾患は慢性疾患であるため生涯にわたって患者さんとつきあっていくことになる、そのためこれらの患者さんに生じた消化器や循環器合併症など様々な疾患もみていく必要にせまられるといったことをきき自分の求めているものに合致すると考え入局を決めた。研修医1年目は大学病院で期待通りいろいろな疾患の患者さんの診療に立ち会える機会をいただいた。2年目は井上病院に出向し研修を行うこととなったが、それまで透析にはあまり興味がなかった、というより何も知らなかった。井上病院で研修を始めると、透析機器や透析操作など初めは全くわからなかったし、それまで勉強したことがないなじみのない透析関連の特有な合併症があったり、安定していると思っていた患者さんの思わぬ急変にも頻回にでくわしたりで別世界にきたという印象で面食らった。正直、自分にはこの分野は長くは続かないだろうなと思っていた。しかしその後少しずつ慣れてくると、透析患者さんという背景があるものの内科の各分野の様々な合併症を併発しうるのでそれらに自分で多く関わることができること、慢性疾患の治療だけでなく急変時は救急的な治療を行うことなど正に学生の時に求めていた内科全般の疾患に関わりたいという自分の希望に合致したフィールドであると感じるようになった。気づけばそのままずっと18年間も井上病院に勤務させて頂いており、本当にありがたい話である。
透析の臨床を続けているとこの分野特有の現象にも興味や疑問がわいてくる。単純レントゲンでの造影したかのような血管の石灰化には驚いた。実際に心血管合併症は多く、様々な感染症疾患とともに自分には透析臨床の2大疾患のように感じている。また学生の時には内分泌臓器の中では比較的マイナーな脇役的印象だった副甲状腺が、透析の分野では主役級であることもおもしろい。そしてCKD-MBD関連のいろいろな薬剤がこの数年次々と開発・使用されるようになっており、まだまだより良い治療ができるようになるのではないかと思うとすごく前向きな気持ちにさせられる。そういった中でビタミンDが骨・副甲状腺だけでなく心血管系や免疫系などに影響する種々の作用をもっているのではないかということが注目されているのは、内科分野の多岐にわたる疾患に関わりたいと思っている自分にとってはまたまた非常に興味深い話題である。このJ-DAVID研究に少しでもたずさわらせて頂いたことは非常に光栄であり、その結果がどうなるか非常に待ち遠しい。