「J-DAVID研究に対する私の期待」

r_kakiya_l

 

 

 

川合 徹
(中央内科クリニック)


 第60回日本透析医学会の大会期間中に宿泊先のホテルのエレベーターの前で庄司哲雄先生から突然J-DAVID Newsの執筆依頼を受けました。私のような若輩者に庄司先生から声をかけていただき、考える間もなくふたつ返事で引き受けてしまいました。しかし、普段文章を書く機会は患者さんの紹介状を書く以外にはほぼ皆無につき、安請け合いしたことを後悔しました。
 ビタミンDについていろいろと考えてみましたが、私の初期研修時代には現在のようにシナカルセトや種々のリン吸着剤はなく、ようやく塩酸セベラマーや高Ca血症を来しにくいビタミンDの注射製剤が上市された時でした。低Ca血症並びに二次性副甲状腺機能亢進症を呈した透析患者さんはたくさんおられました。そのような患者さんに対して、私は安易に炭酸カルシウム製剤とビタミンD製剤を投与しておりました。塩酸セベラマーは食前投与並びに投与量も多く、副作用として消化器症状を強く認めていたため、積極的に投与しにくい状況でした。そのため、患者さんは高Ca血症、さらには全身異所性石灰化を容易に来たすため、ビタミンD製剤に対してあまり良い印象は持っていませんでした。
 その後大学に戻り、腎線維化抑制の研究を開始しました。その時にマウス片腎尿管結紮モデルにおいて、Paricalcitol投与にて腎線維化を抑制する論文を拝読した際(J Am Soc Nephrol 17: 3382–3393, 2006.)、in vitro及びin vivoレベルにおいてビタミンD製剤の腎線維化抑制作用の証明記述内容には驚きました。今ではシナカルセトや非Ca製剤のリン吸着剤も上市され、高Ca血症を伴うことなく、比較的安全にビタミンD製剤を投与することが可能となっていますが、未だに透析患者さんの石灰化問題は解決されていません。透析患者さんに対して本当にビタミンD製剤が必要か否かについて、本研究において明らかになることを楽しみにしております。