ホルモンとしてのビタミンD

tabata_tsutomu_l

 

 

 

田 畑  勉
(井上病院)


1980年代中頃より、ビタミンDの受容体が全身のさまざまな細胞にあり、ビタミンDの骨以外の作用が報告されました。免疫細胞にもビタミンDの受容体が存在することが報告され、故森井先生、西澤先生のご指導のもと「透析患者さんではアルファカルシドール服用で低下していた細胞性免疫が改善する」という報告をいたしました。この頃、わが国では透析患者さんのビタミンD経口パルス療法がビタミンD治療において脚光を浴びており、あたかも活性型ビタミンD製剤が血中副甲状腺ホルモン値を下げる道具として扱われた時期があったかと思います。当時、透析関連のシンポジウムなどで「ビタミンDが細胞性免疫を改善する」という私の発表はあまり相手にされませんでした。ただ、1986年にこの研究をJCEM(J Clin Endocrinol Metab)に出したところ、Editor直々私の拙い英文を訂正し、「興味深い内容であるためRapid Communicationで早く掲載するように」との返事をいただいたのを今も鮮明に覚えております。それ以後、ホルモンであるビタミンDが低下している透析患者さんには補充療法としてビタミンDを処方するという日常診療を行ってきました。当然、高カルシウム血症、副甲状腺機能低下には注意しながらですが。

2004年に庄司先生が「血液透析患者さんでアルファカルシドール服用例の心血管予後が良好」という報告をされ、その後、海外からも同様の報告が続々とされています。まさに、活性型ビタミンD製剤が二次性副甲状腺機能亢進症の治療の道具から、生命予後に影響を及ぼす薬として見直されているものと思います。ただ、これらの報告は「活性型ビタミンD製剤を使用している患者さんは長生きしている」としているだけで、「活性型ビタミンD製剤を使用すれば長生きできる」というデータではありません。J-DAVID試験は前向き無作為化オープンラベルエンドポイント盲検化並行群間比較試験(Prospective, Randomized, Open-label, Blinded-Endpoint; PROBE法)を採用しており、今後の透析医療における活性型ビタミンD治療の位置づけを考える上で貴重なデータとなるものと確信しております。J-DAVID試験で世界初のエビデンスを日本発で発信できることが楽しみです。