Iron meets Vitamin D

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中 西    健
(兵庫医科大学 内科学 腎・透析科)


本年10月3-4日に神戸国際会議場におきまして 「腎生貫徹」をテーマに第44回日本腎臓学会西部学術大会を開催させていただく運びとなりました。どうぞご参加をよろしくお願い申し上げます。神戸では私の前任教授である高光義博先生が第29回の学術大会を開催して15年ぶりになります。私共の鉄の研究も同時期に産声を上げたことを記憶しております。腎機能障害に伴う種々の合併症には酸化ストレスの亢進が重要であることは周知のところですが、鉄をキレートすると酸化ストレスが減弱することが分かっており、鉄の存在が必須であるとの仮説を立てました。
鉄に関して当時は投与すれば造血に利用され ある意味では鉄貯蔵量が多ければ多いほどエリスロポエチンが効率的にHb上昇に効くと考えられておりました。 医局内でも鉄の研究を開始することを提案すると「えっ!鉄?!」という意見が出る始末です。
実は時はまさに「New Iron Age」の始まりで、1996年欧米の遺伝性ヘモクロマトーシスの90%の患者の原因遺伝子として同定されたHFEは ヒトMHC class l様遺伝子で,その遺伝子産物はβ2 microglobulin (BMG) やtransferrin receptor(TfR)と結合し、HFEの異常は鉄過剰を惹き起こすことが明らかになりました。特にBMGというキーワードにつられて 鉄とHFEの研究を目指しました。
本邦での鉄の研究に関しては、血液中に可溶型TfRの存在を証明された旭川医科大学 高後 裕先生が第一人者とお聞きして、さっそく連絡を差し上げて研究の方向性について教えを乞いにまいりました。先生はご親切にもラジオアイソトープでラベルした鉄の輸送のプロトコールなどをご教示くださいました。さらに「鉄の存在を確認しないとどんな輸送や調節因子を検討しても意味がない」とのアドバイスを頂きました。
そこで腎不全患者での鉄代謝異常を明らかにするために 血液透析患者の多核白血球を用いて鉄の蓄積とそれに関連する鉄の輸送異常を解明することができました。また同時期に、鉄代謝の中心的な役割を果たしている機構が肝臓で産生されるペプチドホルモンのヘプシジンであり、先述のHFEによって調節を受けていること、そして鉄が過剰になるとヘプシジンの発現により むしろ鉄の動き(全身での流通)が悪くなり、‘鉄の囲い込み’も亢進されることが報告されました。
従来よりCKD-MBDの病態と腎性貧血に関連があるのではないかと考えられてきましたが、昨年ビタミンDがmacrophageのhepcidin発現を抑制することが明らかにされ、両者の結びつきが解明されつつあります。ビタミンDのヘプシジン低下作用は‘鉄の囲い込み’を解除させることになり、ビタミンDのpleiotrophic作用の一端と考えられます。