J-DAVID試験のMethod論文公開

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J-DAVID研究会事務局
大阪市立大学大学院医学研究科
血管病態制御学
庄 司 哲 雄


日本透析医学会のOpen Access JournalであるRenal Replacement Therapy (RRT)誌にJ-DAVID試験のMethod paperが掲載されました。公開から10日ほどで127件のアクセスがあり(2016/05/06現在)、関心の高さが読み取ることができると思います。
そもそもMethod paperあるいはProtocol paperがなぜ必要なのかと申しますと、臨床試験の「後だし」を防ぐという意義が大きいものと思われます。かつてUMIN-CTRなどの臨床試験登録サイトが発達していなかった時代には、「後だし」ではないことを明らかにするために、Method paperにしっかりとした研究内容を記載して、公開しておくということがされていました。しかしながら、臨床試験登録サイトが利用できるようになった現在でも、Method paperは是非とも書いておくべきであると思うようになりました。その理由を述べます。
まずは、当該の臨床試験を海外の先生方にも知っていただくためには、UMIN-CTRだけよりも絶対に有利になるということです。現在, Renal Replacement Therapy誌は出来立てほやほやであるために、PubMedでの検索対象になっていません。しかし、該当論文のURLへのリンクを各種ホームページに貼ることができますし、Open Access であるため著作権は著者の手にあり、ホームページにPDFファイルを貼りつけるなどしてもかなわないことになっています。私も慣れないFaceBookに掲載したり、海外の知人へのメールにリンクのURLをつけてみたりしています。
もっと大切なこととして、Method paperを執筆することによって、解析対象、エンドポイント、解析方法などの詳細をきちんと整理しておくことができます。そんなことは研究計画書を作成する段階で全て決定しているはずではないか?またUMIN-CTRにもそのような内容を記載しているはずではないか?そう思われると思います。しかし、方法論的な内容があいまいでも倫理審査は通過できてしまう場合もあるし、UMIN-CTRへの書き込みは完了してしまえるのです。臨床試験のプロが作成したガッチリしたプロトコールなら話は別かもしれませんが、研究者の手作りで進めている臨床試験では、多少のあいまいさが残っていたりするものです。例えば、割付治療が途中で実施できなくなった患者を解析対象に含めるかどうか、主要解析はKaplan-Meierのlog-rankテストのP値かCoxモデルによる結果を採用するのか、中間解析はするのかどうか、する場合はP値をどう取り扱うのか…などなど。J-DAVIDには直接関係ありませんが、例えば治療開始52週後のラボデータをエンドポイントにした研究の場合は、そのデータが欠損している場合はどう取り扱うのか、何らかの補間を行うのか、多変量調節するのかなどの問題を事前に明らかにしておく必要があるようです。最近の臨床試験のMethod paperを読んでみると、驚くほど詳細に記載されているのです。
J-DAVIDはまだ解析前夜です。あと3施設からの症例報告書の返送を待っています。5/13、5/14にはイベント評価委員会があります。もう少しのところまで来ています。昨今、臨床研究に求められる学術的・倫理的スタンダードがどんどん高いものになっております。これからの日本・世界を担う若い世代の先生方の参考にしていただけるよう、J-DAVID試験は襟元を正し背筋を伸ばして、前を向いて歩いています。2016年後半の最終解析を目指して。