臨床研究と恋愛

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J-DAVID研究会事務局
大阪市立大学大学院医学研究科
老年血管病態学
庄 司 哲 雄


 皆様、新年おめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。「また1年経ってしまった」と、ため息をつかれる方もおられるかもしれません。しかし、J-DAVID のような長丁場の臨床試験に取り組む者といたしましては、1年経つということは、試験終了に1年近づくということ。新春にあたり、みなさまの温かいご支援に対しまして、心より感謝の言葉を申し上げます。
 さて、臨床研究で興味ある結果がでますと、impact factorの高い雑誌に投稿したくなるものです。「これくらい面白いなら、この雑誌にならacceptされるはずだ」と思って勇んで投稿しても、厳しいコメントがついて、結果はReject-そんなことがここ数年増えているように思われます。それもそのはず、NDTの編集方針によると、2011年は1冊に平均45編の論文を掲載していたところを、2013年には25~27編にまで絞りこむことになっており、2012年の実績では30編だそうです。2012年のNDTのアクセプト率は約15%、CJASNでは8%といわれています。雑誌の編集長としては、自分が就任したらimpact factorが上ったという実績を作る必要があるのでしょうが、投稿する側にしてみたら大変迷惑な話です。
 そのような状況で、論文を通すためにはどうすればよいのでしょうか? AJKDの投稿規定を読むと驚きます。RCTならCONSORTを参照せよ、観察研究ならSTROBEに従って記載せよ、Kaplan-MeierにはNo at riskを記せ、P値はどうせよなどなど、あれこれと細かく指示が示されています。臨床研究論文を書くための良い教科書になると思い、大学院生には一読を勧めています。しかし、書き方以上に大切なことは、臨床的に重要なResearch Question(RQ)を立て、適切なデザインを計画し、高い品質で実施することです。品質には、解析するデータ自身が正確なことも含まれます。J-DAVIDは医師主導臨床試験ではありますが、RQは重要、デザインは適切、データマネージメントは大阪市大医学部医薬品・食品効能評価センターに委託し、第三者によるイベント評価委員会や独立データモニタリング委員会も設置し、高い品質を確保できていると自負しております。
 恋愛で結ばれるためには告白が必要ですが、告白が失恋につながることもあります。迷った結果、告白せずに片思いを続ける人もいます。臨床研究では、観察コホートは片思い状態、どっちつかずで欲求不満。RCTという告白をしないとエビデンスになりませんが、その結果、失恋する確率がなぜか腎臓領域では高いようです。
 新春を迎え、J-DAVID は観察終了まであと2年。計画段階から通算すると8年間かかる長期恋愛中です。告白にどんな返事が来るか?J-DAVID事務局は、高い品質の確保という愛情を注ぎ込みつつ、ビタミンDの恋が実ることを夢見ております。