J-DAVID研究の成果に期待する

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大 平 整 爾
(札幌北クリニック)


  心を持つ病み人を治療する臨床医学は、その医療行為の過程に様々な要因が紛れ込んでくるために100%科学的・論理的・理性的であり得ない。日常臨床の現 場に立ってみると患者・家族対医療者の感情交流が幅を利かせており、著しく感情的な要素を交えた人間関係のうえに立脚している。これを是認しつつ、臨床医 学に纏わりつく曖昧さを少しでも払拭する努力は必要不可欠であろう。カナダのGuyatt教授の提唱したEvidence-based Medicine(EBM)はその一翼を担っており、EBMのEはevidenceだけではなく、experience・economy・ethics・ ecology・emotionをも意味することを認めながらも、現代医療は明確な“ Evidence “を基にして進もうとしているのだと認識する必要があろう。活性型ビタミンD剤の登場は腎疾患治療領域において画期的な出来事であったが、本剤の薬効の一 つである副甲状腺からのPTH産生や分泌を抑制する作用にのみ関心が集中するきらいがあった。ビタミンDの受容体が主要な臓器・組織に存在する事実に注目 すれば、本剤には血清PTH低下効果を期待するに止まらず、より大きな視野に立った検討が望まれてきた。この点に関しては西澤良記教授ご一門が既に幾つか の興味深い成績を公刊しておられ関心を抱いてきたが、この度、実務担当者の庄司哲雄先生を中心に大規模なprospective studyが長丁場で企画されたことには、期待するところ大である。長期にわたる臨床データーを集積する地道な作業であるが、全国の透析医諸賢の参画を得 て、世界に発信できる第一級のエビデンスが獲得できることに胸を膨らませている。