血管石灰化とビタミンD

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新 田 孝 作
(東京女子医科大学)


血管石灰化とは、血管壁へのカルシウム(Ca)の非生理的な沈着で、慢性腎臓病(CKD)患者の生命予後に影響を与える重要な因子と考えられている。CKD stage 5Dにおける血管石灰化病変として、動脈硬化の進展によりプラーク内に認められる石灰化病変のほかに、中・小筋型動脈の中膜にみられるメンケベルグ型中膜石灰化がある。冠動脈などでは,これらの石灰化病変がしばしば混在し認められる。
単純エックス線撮影は、血管の石灰化の検出に有用である。大動脈や大腿動脈の石灰化は、胸部、腹部、骨盤部あるいは腰椎側面の単純エックス線にて評価する。主に粥状硬化性石灰化の検出に適している。
CTスキャンは、血管石灰化の検出および半定量化に有用である。腹部単純CTでは、総腸骨動脈分岐部から上方に1cm間隔の10スライスを用い、大動脈石灰沈着の面積を、大動脈石灰化指数で表して評価することが可能である。EBCTは、時間分解能に優れ、心臓や大血管に特化した検査法である。最近では、汎用性に優れたMDCTによる検出感度が向上し、信頼度はEBCTに匹敵するといわれている。
血管石灰化の予防においては、Ca・リン(P)代謝の管理が最も重要である。K/DOQIガイドラインでは、血清P値3.5~5.5mg/dL、血清Ca値8.4~9.5mg/dLおよびCa・P積値55mg/dL以下を推奨している。P吸着薬として現在Ca製剤が繁用されているが、多量使用やビタミンD製剤併用によってCa吸収量が増加し、高Ca血症を呈しやすくなる。Caを含まないP吸着薬として、陰イオン交換樹脂製剤である塩酸セベラマーが使用可能である。非Ca性P吸着薬として、炭酸ランタンがある。わが国でも、炭酸ランタンの臨床試験が進んでいる。本邦における治験の結果では、炭酸Caや塩酸セベラマーをはるかに凌ぎ、血管石灰化への作用が期待されている。活性型ビタミンDの投与が血管石灰化の進行に好影響を及ぼす可能性が示唆され、J-DAVID研究の成果が期待される。