ビタミンDと造血系との関わり

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水口 隆
(高知高須病院)


 もう、今から4半世紀以上前になりますが、1980年代後半は、エリスロポエチン、G-CSFなどの造血因子の遺伝子が同定され、遺伝子組換型の造血因子が臨床で使用できるよう盛んに臨床治験が行われていました。また、同時に色々なサイトカインも発見されインターロイキンシリーズとしてまとめられていった時代でした。その頃、私は血液学を専攻する研究生として、造血因子、造血抑制因子、造血前駆細胞などの研究を行っていました。また、臨床では白血病、リンパ腫、骨髄腫などの血液の悪性腫瘍を中心に診療していました。私とビタミンDの出会いはその頃で、腎不全医療に関わる前でした。ビタミンDは骨髄系白血病や骨髄異形成症候群の治療薬として前骨髄球性白血病に使われるレチノイン酸とともに血液腫瘍に用いられるビタミンの双璧でした。ビタミンDには白血病幹細胞の分化誘導作用があることから、顆粒球-マクロファージ系造血前駆細胞に対する作用を検討したことを記憶しています。ビタミンDはG-CSFやGM-CSF依存性の顆粒球-マクロファージ系コロニー形成を促進し、エリスロポエチン依存性の赤血球系造血前駆細胞のコロニー形成を抑制した記憶があります。さらにマクロファージや顆粒球の分化や機能に影響を及ぼすことも報告されていました。また、マクロファージや顆粒球系以外にもリンパ球系にも作用し免疫調節にも関与しているとの報告もありました。ビタミンDが骨代謝以外にも多様な作用を持つことがとても印象的でした。他にも発毛調節や大腸癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、悪性黒色腫、白血病などの発癌リスクへの関与、多発性硬化症、うつ病、統合失調症などへの関与なども報告されており、ビタミンDの多彩な影響力に驚かされています。造血細胞の研究から20年以上を経て、今回J-DAVID試験に参加させていただき、当時のことを思い出しています。J-DAVID試験もそろそろ大詰めと思われますが、透析患者さんにとって「ビタミンDが長寿ホルモン」であってもらいたいものです。試験の結果を楽しみにしております。