透析患者の予後改善のために

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水 口 潤
(医療法人川島会 川島病院)


 日本の透析医学・医療はこの40年間で著しい発展を遂げ,その治療成績は国際的にみても最高のレベルに達しているということができる。しかしその生命予後は癌患者に及ばない状況にあり、腎不全医療に携わる我々にとって解決すべき課題は多岐にわたる。
最近の臨床研究の成果より、腎機能の低下はCVD の発症,冠動脈疾患,心筋梗塞,心不全,脳血管障害,CVD による死亡、入院などのリスクを高めることが明らかとなった。しかし慢性腎不全患者に対する現在の血液浄化療法は、質的にも量的にも健常な腎機能には遠く 及ばず、常にこれらの危険にさらされている状況にあると考えられる。したがって慢性腎不全患者の予後改善のためには、よりよい血液浄化療法を開発・提供す ることが基本である。40年間にわたる血液浄化を振り返り、透析医療において重要であると思われる尿毒素除去、血液浄化のキネティックスとホメオスターシ ス、膜の生体適合性、透析液、筋肉異栄養症、動脈硬化、老化などの実態を整理し問題点を明確にすることにより、今後解決すべき課題と治療戦略の方向性が示 され、その目的が達成されていくものと考える。
一方、現在の血液浄化療法の不完全さに起因する高血圧、貧血、P・Ca 代謝異常,動脈硬化、栄養障害、脂質代謝異常、アミロイドーシスなどの合併症に対する治療も透析患者の予後改善には必須である。P・Ca 代謝異常においては、透析液Ca濃度と水酸化アルミニウムゲルによる治療に依存していたなか、活性型ビタミンD剤の登場は画期的な出来事であったが、その 作用に関しては骨代謝への関心が主体であった。近年CKD-MBDの概念の普及により、骨だけではなく,血管石灰化を含む,生命予後に影響を及ぼす全身疾 患としてとらえられるようになった。
今回のJ-DAVID試験において、透析患者にとって「ビタミンDが長寿ホルモン」であることが検証され、透析患者の予後改善に役立つことを期待したい。