一臨床医から見たJ-DAVID研究のすばらしさ

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谷口 正智
(福岡腎臓内科クリニック)


 2000年,当時の九州大学第2内科腎臓研究室主任の平方秀樹先生のもとで臨床の研鑽を積んでいたが,敬愛する徳本正憲先生にお誘いいただき二次性副甲状腺機能亢進症の研究に従事することとなった.当時は腎性骨症の概念のもと,活性型ビタミンDを用いてPTHを制御することが話題の中心であり,われわれのグループではビタミンD治療と副甲状腺過形成の関係を中心に研究を進めてきた.またこの頃は血管石灰化が徐々に問題になり始めた頃であり,その後は生命予後を重視したCKD-MBDの概念へと移行していった.このような中,Shojiらはいち早くビタミンDと生命予後の関連に着目し,透析患者におけるalfacalcidol投与と予後との関連を示したことは非常に意義深い.
 Cinacalcetが上市されて以降,二次性副甲状腺機能亢進症は大半の透析患者において解決され,CKD-MBD研究は心血管病との関連を中心に議論されるようになり,リン調節因子としてのFGF23や老化遺伝子であるαklothoへとその興味が移っていった.FGF23はこれまでの研究から,二次性副甲状腺機能亢進症の起点になっている可能性が高く,またFGF23自体に病原性がある可能性が示されている.この病原性については議論の余地があるが,もしその病原性があるのであればFGF23が超生理的高値を示す透析患者においてこれを阻害する治療は魅力的である.すでに基礎研究において,intact FGF23と拮抗作用を示すC端FGF23を用いた方法,FGF受容体拮抗薬,FGF23抗体など,先行する報告がなされており今後の展開が望まれる.
 このような状況の中,活性型ビタミンD投与が透析患者の予後を改善するかという命題について,わが国において最大規模のランダム化比較試験,J-DAVID研究が推進されている.機序からすればビタミンD投与は血中FGF23濃度を上昇させることになり有害な一面も予想されるのであるが,このことと本研究の結果との関連について注目したい.またビタミンD投与により心血管病のみならず,感染防御においてもその効果がどうであるか非常に興味深いところである.筆者が留学していた米国ではほとんどの牛乳製品に天然型ビタミンDが添加されていたが,その効果は十分検証されていないのが実情である.今後,J-DAVID研究においてビタミンDのさまざまな効果が検証されることに大いに期待したい.