長年のクリニカルクエスチョンへの回答に期待

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伊東 稔
(矢吹病院 腎臓内科)


 私の研修病院では研修医1年目から透析室の診療に関わっていました。消化器内科や循環器内科をローテートしている時でも透析患者さんへのシャント穿刺、データ管理、処方を行うことがデューティーでした。上級生医師からレクチャーを受け見様見真似です。あの当時は透析量という概念は浸透しておらず、QB150ml/min、週2回の透析という患者さんが多く居たように記憶しています。透析室はいつも満床でスケジュールはガチガチ、長時間透析や頻回透析を行うなどのアイディアはありませんでした。
 当時の透析患者さんの骨病変はCKD-MBDではなく腎性骨異栄養症という概念でした。検査データを元にカルシウム、リン、PTHをコントロールするようにと教えられました。リン吸着薬は炭酸カルシウムだけ、ビタミンD製剤は内服薬しかない。若くてよく食べる患者さんは透析不足が加わって高リン血症を呈している。当時の私はリン吸着薬を(非現実的な量で)増やす提案をするか、食事に気を付けましょうといった食事指導(まがいの指示)しか出来ませんでした。現在であれば、透析時間を増やしませんか?血流量上げてみましょう?在宅血液透析にしてみませんか?新しいお薬を使ってみませんか?など多くのオプションを提示出来ます。知識もなく技術も武器もない当時、研修医時代に私が担当していた患者さんには「もっと何か出来たのではないか」と、悔しい気持ちを感じずにいられません。
 当時から、PTHが抑制されている患者さんにビタミンD投与は必要なのか、というQCに対し仲間内でよく議論していました。私達のグループは「必要である」という立場でしたがこのQCの回答となるエビデンスを持っていませんでした。J-DAVIDの結果は長く結論の出なかったこのQCに答えを出してくれるものと非常に期待しています。そしてやはりビタミンDの必要性が証明されるのではないか、と思っています。