湯浅健司先生を偲ぶ

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大田 和道
(尚腎会高知高須病院 泌尿器科)


この文章を御読みの先生方の中にも,JDAVID幹事で当院名誉院長の湯浅健司先生と御親交のあった先生もいらっしゃると思います.湯浅先生は今年1月に病に倒れられ,闘病のかいなく,誠に残念ですが,この10月17日に逝去されました.
私と湯浅先生と出会いは,当時湯浅先生が院長であった当院(高知高須病院)に赴任した約14年前に遡ります.当時,湯浅先生は二次性副甲状腺機能亢進症管理を私の上司であった横田欣也先生(現在は四国こどもとおとなの医療センター泌尿器科部長)と共に,PEITによる管理を重点的に行っていました.今思えば,現在のPEIT実施基準からすると少々適応から外れるような症例でも積極的(?)に行っていました.ただ,一時的にはPTHが低下しても,すぐにPTHが再上昇してくる症例が多く,PEIT療法の限界が何となく解りつつありました.湯浅先生にその事を相談したところ,先生も同じことを考えていたようで,すぐに名古屋第二赤十字病院の富永先生のところでのPTxの研修の段取りをしていただきました.その後,当院でもPTxを開始しましたが,初めのうちは複数回のPEIT後の症例が多く,副甲状腺周囲の強い癒着や剥離中の出血,半回神経の同定に術中難渋した記憶があります.それを湯浅先生に相談すると,御自身の経験を踏まえ,腺腫が見つからない時の検索方法や半回神経の同定方法を図解入りで丁寧に解説していただいたことが思い出されます.
PTxによる二次性副甲状腺機能亢進症管理が,PEITに比べ劇的に改善することが実感され始めると,湯浅先生もPTx中心でやろうと方針を変更し,PEITの既往のない症例でPTxを行うことも増え,PEIT歴のある症例よりも難渋することが少なくなって行きました.また,その後はPTHの上昇した患者さんには,先生自らが副甲状腺エコー検査を行いながら,PTxの有用性を熱心にムンテラしている姿をよく目にするようになりました.(ただ, PTxを嫌がる場合には,PEITの説明をしぶしぶしていましたが)
湯浅先生はCKD-MBD管理では,ビタミンDの多面的作用にも注目され,透析のみならず,保存期からの積極的な介入治療も考えておられ,いろいろと構想を練っておられました.その矢先に倒れられたのは,さぞ無念であったと思います.不肖私が湯浅先生の任を引き継ぐ事となり,改めてその功績の大きさに驚かされます.湯浅先生のやり残された事をすこしでも成し遂げられるように,今後やっていく所存でございます.
湯浅健司先生の安らかなご冥福をお祈りいたします.合掌