腎臓と老化

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猪 阪 善 隆
(大阪大学大学院 老年・腎臓内科学)


私の所属する教室は老年・腎臓内科学であるが、このような名称の講座は他には見当たらない。講座が開設された当初は、腎臓と老化は関係ないと思っていたのであるが、中医学では、「腎虚」とは「老化が進行していること」を指しており、昔から何らかの関係があると考えられていたようである。実際、老化と進行した慢性腎不全が極めて類似した表現型を示すことは、腎不全医療に携わる誰もが実感することである。また、老化抑制因子とされるKlothoが腎尿細管で発現していることは、これを裏付ける証左でもあるかもしれない。J-DAVID試験では、「ビタミンDが長寿ホルモンであるか」を検証することになるが、もし、これが確認できれば、我々の講座名は実に先見の明があったと言えるであろう。
さて、先日の大阪透析研究会で当研究室の濱野高行先生に「透析液のCa濃度を考える」というテーマで講演してもらった。濱野君の主張を一言でいうと、「低Ca濃度の透析液を用いて、適切にビタミンDを使用することが予後を改善する」とことである。この主張に異論のある先生もおられるであろうが、我々の研究室がCKD患者に行った観察研究でもビタミンDの有効性を確認しており、ビタミンDを有効に使用することは、単にCKD-MBDだけでなく、心血管合併症や感染症や免疫の観点からも生命予後に重要であると感じている。現在の透析医学会のCKD-MBDガイドラインのP, Caの治療管理法「9分割図」では、透析液のCa濃度は、治療を行ってもCa濃度異常が持続する場合に変更を考慮するとされており、その地位は低いようである。J-DAVID試験において、ビタミンDが長寿ホルモンとしての有効性が証明され、透析患者さんの生命予後を改善させるためにも、透析液のCa濃度とビタミンDの適切な治療管理が示されることを願いたいと思っている。