ビタミンDとQOLの関係

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稲葉 雅章
(大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学) 


  個人的な事柄であるが、私とビタミンDの関係は長く深いものがある。先々代の故森井浩世教授から、それまで研究を行っていた甲状腺分野からカルシウム分 野、特にビタミンD研究に注力するようにとのご指示が下った1983年頃からの付き合いになる。当初は新規ビタミンD誘導体である 26,26,26,27,27,27-hexafluoro-1,25(OH)2D3(ファレカルシトリオール)の作用増強機序や、当時、ビタミンDの New actionとして発見された白血病細胞の分化誘導作用に関する研究を行っていた。その後、森井教授の推薦で活性型ビタミンDの発見者であり、森井教授も 過ごされたUniversity of WisconsinのHF DeLuca教授の研究室に2年間留学し研究を行った。当時教室の仲間が、ビタミンDの血管新生作用やオスラットの精子増加作用について研究をおこなって おり、「へぇー、ビタミンDには多彩な作用があるんや!」とびっくりした記憶がある。帰国後数年間にわたってビタミンD研究を続けたが、その内に日常臨床 や臨床研究で日常に追われ、ビタミンDに関する研究を怠ってきた。
教室の庄司哲雄先生が、血液透析患者でビタミンDの生命予後改善について報告 され、ビオタミンDを愛してきた私にとっては、久しぶりの恋人が立派になって帰ってきたような気持ちであった。血液透析患者で見られたこのビタミンDの生 命予後が、一般人やいろんな疾患患者で示され、まさにビタミンDはかってのDHEAや他の不老長寿の薬の扱いを受けている。ただ、このビタミンDの生命予 後改善作用を確固たるものとするためにはJ-DAVID試験のような前向きRCTのデザインを持つ臨床試験が必要となる。日本透析医学会の統計調査委員会 データではじめて示された日本発の重要な臨床知見を、日本の臨床データで確定させることができるのは非常に意義深いと考えられる。私のビタミンDに対する 気持ちが成就できるようJ-DAVID試験の貫徹を熱く応援するしだいである。