古くて新しいビタミンD

negi_shigeo_l

 

 

 

谷 田 秀 樹
(矢吹病院 内科)


 毎月送られてくるJ-DAVID Newsのこのコーナーには多くの先生方が活性型ビタミンDとご自身との関わりを書かれていて、毎回興味深く読ませていただいていました。
 私が研修医になってまだ間もない頃、当時のオーベンに透析患者の定期処方を任されるようになりました。と言ってもまだまだ駆け出しの医者ですから、結局は「do処方」を繰り返すばかり。その当時の山形県の中核透析病院はCa濃度2.5mEq/Lの透析液が主流で、ほとんどの患者に活性型ビタミンDが処方されていました。研修医の先輩に「ビタミンDはどのように調節するといいんですか?」と問うと、「Caが下がらないようにすればいいんだ」との返事でした。ところが実際には低Ca血症の患者などほとんど見かけることもなく、本当に必要なのだろうかと疑問に思っていました。
 その頃に受け持った透析患者は山形県でもとくに田舎から来た、小柄な女性でした。インタクトPTHを測定すると2000を超える値、そしてレントゲンを撮れば今ではまずお目にかからないであろうsalt & pepper skullとrugger jersey spineの所見。まだ静注ビタミンD製剤もない時代でしたから、経口ビタミンDによるパルス療法を行いました。半年ほど経ったころのレントゲンは微妙ではありましたが改善していました。その症例は私の初めての学会発表の題材になり、意気揚々と(?)東部腎に出かけたことを覚えています。
 それから20年の間、研修医の先輩もきっと驚くほど活性型ビタミンDの多面的な作用が次々と明らかにされ、今では透析領域のみならず加齢や発癌との関与まで解明されてきています。
 新たなCKD-MBD関連の薬が次々と生まれてくる中、ずっとかわらず透析患者に投与されてきた活性型ビタミンDに新たなエビデンスが加わることを楽しみにしています。