J-DAVID 試験に思う

kusano_eiji_l

 

 

 

草 野 英 二 
(自治医科大学内科学講座腎臓内科学部門)


 J-DAVID 試験のホームページの冒頭に「最近になり、活性型Vit Dの新たな作用として、心臓病や動脈硬化を予防するなど、元気で長生きするのに役立つ可能性が指摘され、内外の学会で注目されています。透析患者さんに とって「ビタミンDは長寿ホルモン」となるかもしれないのです。」という件がある。
私は以前から老化抑制遺伝子のklothoに興味を持ってい る。ことにこの遺伝子が腎臓の遠位尿細管に存在することから興味を持った次第である。従来から腎不全では老化が促進されて心血管系障害や死亡が多いことは よく知られていたが、ここに及んでさらにクローズアップされている。従来の仮説ではCKDの進行ととともに尿毒症物質が蓄積して細胞や臓器の障害を惹起す るが、klothoの発見によりCKDの進行により老化抑制遺伝子の減少により循環血液中にklotho蛋白が減少したり、その作用が減弱して老化が促進 されると想像されそのようなエビデンスが徐々に蓄積されつつある。最近、このklotho遺伝子の発現は活性Vit Dの投与、リンの制限や亜鉛の補充で発現が増加することが報告されている。薬剤ではスタチンや甲状腺ホルモンなどはklotho遺伝子の発現を増加する。 高リン食、アンギオテンシンII、エストロゲンなどは、逆にこの遺伝子の発現を抑制する。透析患者の長寿を得るためには、出来るだけこのklotho遺伝 子発現を増加させる必要があり、その意味ではVit Dはまさに理にかなった薬剤と考えられる。
私は、最近また甲田光雄先生の「小食が健康の原点」なる本に興味を持っているが、腎不全患者の食事療法もある意味では「小食」である。近い将来小食が本当にklotho蛋白の血中濃度を増加するかどうかも検証したいと考えている。