ビタミンD研究との関わり

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石 村 栄 治
(大阪市立大学大学院医学研究科 腎臓病態内科学)


腎臓内科で私は、光顕・蛍光・電顕の腎病理からスタートして、マニアックに腎生検(当時はエコーと14Gツルーカット針の職人芸に悦にいっていました)、腎炎、ネフローゼ症候群を主にしていましたので、当初はビタミンDには全く興味を持っていなかったですし、しいて言えばビタミンDは悪者の印象でした。整形外科から腎不全悪化症例のコンサルトを受けた際、高齢者でアルファロール1μg投与されており、高カルシウム血症(Ca 12mg/dlぐらい)により腎不全が悪化した症例であり、腎臓にはビタミンD投与は好ましくない、面白くない、と感じていたものです(今は、腎不全患者にアルファロール0.25-0.5μgを投与すれば、CKD-MBDに対して安全かつ有効な治療手段と考えていますが)。
米国留学中は培養メサンジウム細胞の細胞外基質産生の免疫化学、遺伝子発現を検討しておりました。帰国後、執念をもってすべての研究をビタミンDに関連させておられた森井浩世教授に、「ビタミンDでメサンジウム細胞を刺激したらどうなるでしょうねぇ?」、といわれ、見込みのない研究だなぁ、と思いながらも実験を開始しました。Scatchard 解析でメサンジウム細胞にビタミンDレセプター(VDR)が存在することを確認したときは、ヘェー、と思ったものです(VDRはubiquitous に存在するので現在では当たり前ですが、尿細管細胞でなくメサンジウム細胞にVDRがあることに当時はびっくりしたものです。ビタミンDによる増殖抑制効果のデータなどともにアメリカ腎臓学会にだけは発表しましたが、当然論文にはなりません)。その後、メサンジウム細胞におけるビタミンDと細胞外基質産生の研究を続けましたが、私の「Vision and work hard」(ノーベル賞山中伸也教授の格言)が乏しかったのか、まったくの空振り、徒労でした(教授提案ではありましたが、この研究は嫌になり、約1年でやめました)。
その後は保存期腎不全患者のビタミンD代謝(Kidney Int誌掲載)、透析患者のオキサロールパルス治療の副甲状腺体積との関連の研究(白鷺病院奥野仙二先生とNephrol Dial Tansplant誌掲載)など臨床研究に携わってきました。その間、アメリカ腎臓学会ではビタミンDの古典的作用(骨、Ca,Pへの作用)以外の新しい作用(免疫、細胞分化、抗腫瘍作用など)が年々注目されていました。教室の庄司哲雄先生(Nephrol Dial Transplant誌掲載)他、「ビタミンDと生命予後が関連する」との報告が全世界からいくつかなされて興味が増したところでした。保存期腎不全ではどうだろうなぁ、と考えていたころ、透析患者でJ-DAVID研究がスタートしました。J-DAVIDの研究がPositiveに出るか(そうならすごい!)、あるいはそうでないかも(そうでなかったことの解析をする意義がある)、数年後のデータ解析結果に興味を強く持つところです。