ビタミンDと腎臓に関する文献 2012年

透析患者の心血管疾患に対するシナカルセトの効果
Effect of Cinacalcet on Cardiovascular Disease in Patients Undergoing Dialysis
The EVOLVE Trial Investigators. N Engl J Med 367: 2482-2494, 2012
【ポイント】
二次性副甲状腺機能亢進症を伴う透析患者3883症例を、シナカルセトかプラセボかをランダムに割付け、64カ月間の心血管疾患(複合一次エンドポイント:死亡、心筋梗塞、入院を要する不安定狭心症・心不全・または末梢動脈イベント)の発症を比較した。一次エンドポイントのHRは0.936(0.85-1.02), P=0.11であった。

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マウス腎臓の種々の細胞におけるVDR蛋白発現の同定
Identification of the vitamin D receptor in various cells of the mouse kidney
Wang Y, et al. Kidney Int 81: 993-1001, 2012
【ポイント】
これまで腎でのビタミンD受容体発現は、遠位尿細管細胞でのみ知られていた。今回のDeLucaラボからの抗VDR抗体を用いた検索により、ラット腎臓では近位尿細管細胞、マクラデンサ、ポドサイトにおいてもVDRが発現していることが明らかになった。

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進行した腎臓病患者における血漿25(OH)D・1,25(OH)2D濃度と死亡・透析導入との関連
Associations of plasma 25-hydroxyvitamin D and 1,25-dihydroxyvitamin D concentrations with death and progression to maintenance dialysis in patients with advanced kidney disease.
Kendrick J, et al. Am J Kidney Dis 60: 567-75, 2012
【ポイント】
葉酸投与にてホモシステイン低下をさせたRCTであるHOST (Homocysteinemia in Kidney and End Stage Renal Disease) Studyの保存血清を用いた観察コホート研究。対象はCKD stage 4-5NDの1099症例。平均観察期間は2.9年。血漿25(OH)D・1,25(OH)2D濃度と、総死亡・心血管疾患・長期透析導入との関連を検討した。1,25(OH)2D濃度低値は高いリスクを示し、FGF-23濃度を加えると関連は弱まった。一方、25(OH)Dはこれらのエンドポイントを予測しなかった。

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ビタミンD、喫煙と肺機能:Normative Aging Study
Vitamin D deficiency, Smoking, and Lung Function in the Normative Aging Study
Lange NE, et al. Am J Resp Crit Care Med 186: 616-621, 2012
【ポイント】
626例の男性の20年間にわたる観察コホート研究。血清25(OH)Dを測定し、20ng/mL未満のビタミンD欠乏群とした。喫煙者は非喫煙者に比較し1秒率や肺活量などの肺機能の低下が大きいが、ビタミンD充足群では喫煙に伴う肺機能低下が小さかった。

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透析導入患者においてBioavailable vitamin Dはtotal vitamin Dよりもより密接にミネラル代謝に関連する
Bioavailable vitamin D is more tightly linked to mineral metabolism than total vitamin D in incident hemodialysis patients
Bhan I, et al. Kidney Int 82: 84-89, 2012
【ポイント】
血清中の25(OH)Dも1,25(OH)2Dも結合タンパクに強く結合しており、生物学的に活性を有しない。計算式で求めたbioavailableな25(OH)Dや1,25(OH)2D濃度は、血清25(OH)Dや1,25(OH)2D濃度に比べ、CaやPTHとの関連が強かった。

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経口カルシトリオールはIgA腎症患者のタンパク尿を減少させる:ランダム化比較試験
Oral calcitriol for reduction of proteinuria in patients with IgA nephropathy: a randomized controlled trial
Liu LJ, et al. Am J Kidney Dis 59: 67-74, 2012
【ポイント】
RAS阻害薬治療中で0.8g/day以上のタンパク尿を呈するIgA患者50症例を、カルシトリオール非投与群と投与群(0.5μgを週2回)、48週間の観察を行った。24時間尿タンパクの変化は、非投与群で+21%、投与群で-19%で、有意差を認めた。

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ヒト動脈壁のKlotho欠乏状態は血管石灰化促進とFGF-23抵抗性を助長する
Vascular klotho deficiency potentiates the development of human artery calcification and mediates resistance to fibroblast growth factor 23
Lim K, et al. Circulation 125: 2243-55, 2012
【ポイント】
動脈壁におけるKlotho発現はCKDなどのストレスで抑制される。局所のKlothoは内因性石灰化抑制因子であり、FGF-23シグナル伝達に必要なcofactorでもある。VDRAはKlotho発現を回復させ、FGF-23の石灰化抑制作用を引き出すことができる。

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年4回の経口ビタミンDボーラス補充による肺炎発症頻度に対する効果:アフガニスタン(カブール)の幼児におけるランダム化比較試験
Effect on the incidence of pneumonia of vitamin D supplementation by quarterly bolus dose to infants in Kabul: a randomised controlled superiority trial.
Manaseki-Holland S, et al. Lancet 379: 1419-1427, 2012
【ポイント】
カブールの幼児約3046例をビタミンD3(コレカルシフェロール)10万単位とプラセボ群に割付、3カ月毎に18カ月投与した。レントゲンで確認された肺炎の発生頻度は両者で差がなかった。この条件におけるこのビタミンD投与方法は肺炎予防には効果的ではなかった。

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血漿25(OH)D濃度と糖尿病発症.Diabetes Prevention Programの追加解析
Plasma 25-Hydroxyvitamin D and Progression to Diabetes in Patients at Risk for Diabetes. An ancillary analysis in the Diabetes Prevention Program.
Pittas AG, et al. Diabetes Care 35: 565-73, 2012
【ポイント】
Diabetes Prevention Programのプラセボ群(N=1022)と生活習慣強化群(N=1017)を合わせた2.7年間の観察コホート研究。25(OH)D濃度低値群(第1三分位)に比して高値群(第3三分位)では糖尿病発症リスクが低く(HR 0.72, 95%CI 0.56-0.90)、プラセボ群も生活習慣強化群でも同じ方向であった。

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介護施設入所女性では25(OH)D濃度低値は死亡リスク上昇につながる
Low 25-Hydroxyvitamin D Is Associated with Increased Mortality in Female Nursing Home Residents.
Pilz S, et al. J Clin Endocrinol Metab. 97: E653-657, 2012
【ポイント】
70歳以上のオーストラリアの介護施設入所高齢女性961例の観察コホート研究(平均観察期間は27カ月)。血清25(OH)D濃度の高値(第4四分位)に比較して低値(第1四分位)では年齢調整の死亡HRが高く、多変量調整後も有意(HR 1.56, 95%CI 1.01-2.40)であった。

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未透析CKD患者におけるビタミンD欠乏と内皮機能障害
Vitamin D deficiency and endothelial dysfunction in non-dialysis chronic kidney disease patients.
Chitalia N, et al. Atherosclerosis 220: 265-268, 2012
【ポイント】
50例の未透析CKD患者において、血清25(OH)D濃度と血管内皮機能(FMD)を計測した。血清25(OH)D低値と血管内皮機能(FMD)低下に関連が認められ、この関係は古典的危険因子で調整後も有意で独立したものであった。透析患者で報告された関係が、未透析CKD患者で初めて示された。

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VDRAはKlothoとosteopontinを増加させ大動脈石灰化を抑制する:高P食負荷CKDマウスによる実験結果
Vitamin D receptor agonists increase klotho and osteopontin while decreasing aortic calcification in mice with chronic kidney disease fed a high phosphate diet
Lau WL, et al. Kidney Int. 82: 1261-70, 2012
【ポイント】
VDRAがVDRA投与でKlothoが増加し尿中P排泄が増加し、動脈石灰化が半減する。VDRAの石灰化抑制をin vitroで示した重要な論文。

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