ビタミンDと腎臓に関する文献 2011年

肺結核の強化抗菌薬治療中の高用量ビタミンD3投与:ランダム化比較試験
High-dose vitamin D3 during intensive-phase antimicrobial treatment of pulmonary tuberculosis: a double-blind randomised controlled trial.
Martineau AR, et al. Lancet 377: 242-50, 2011
【ポイント】
抗菌薬が用いられる以前は結核のビタミンDが使われていた。抗菌薬治療にビタミンD3追加する効果を、喀痰培養陰性化までの期間をエンドポイントに設定したRCT。症例数は146症例。喀痰培養陰性化までの期間は、ビタミンD群36.0日、プラセボ群43.5日(中央値)(P=0.14)で有意ではなかった。しかし、VDRのTaqI多型のtt genotypeでは、ビタミンD群で有意に期間が短縮された(P=0.02)

詳細はこちら

 

アメリカ医学研究所(IOM)はビタミンDの骨作用のみ認め、その他の意義を払いのける
IOM endorses vitamin D, calcium only for bone health, dispels deficiency claims
Slomski A. JAMA 305: 453-454, 2011
【ポイント】
アメリカ医学研究所(IOM)は、25の健康アウトカムに対して1000件近い論文をレビューしたのち、Bone health以外のアウトカム(悪性腫瘍、心血管疾患、糖尿病、免疫機能障害、多発性硬化症、子癇前症、など)に対するビタミンDの働きについて、「データがない」とのみ述べた。本論文はこれに対する2頁半にわたるコメント。

詳細はこちら

 

CKDにおけるビタミンD補充:観察研究と無作為化比較試験の系統的レビューとメタ解析
Vitamin D supplementation in chronic kidney disease: A systemic review and meta-analysis of observational studies and randomized controlled trials.
Kandula P, et al. Clin J Am Soc Nephrol 6: 50-62, 2011
【ポイント】
17の観察研究と5つのRCTを用いて、天然型ビタミンD補充による血液パラメータに対する効果を検討したメタ解析。透析患者でも、天然型ビタミンD補充とPTH低下が関連する。臨床的アウトカムとの関連は不明。

詳細はこちら

 

日本における二次性副甲状腺機能亢進症患者のMBD管理:MBD-5D研究のベースラインデータ
Mineral Metabolism Management in Hemodialysis Patients with Secondary Hyperparathyroidism in Japan: Baseline Data from the MBD-5D.
Fukagawa M, et al. Am J Nephrol 33:427-437, 2011
【ポイント】
わが国における二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)患者(intact PTH > 180 pg/mLまたはVDRA治療中の透析患者)8229症例を登録した前向き観察コホート(MBD-5D)の登録時データの解析。JSDT-GL(2006)のターゲットレベルの高い達成率は、SHPT重症度が軽い群、PTX既往歴あり群、透析液Ca濃度2.5mEq/L群(vs3.0mEq/L群)であった。

詳細はこちら

 

腎臓でのビタミンD内分泌系維持障害はビタミンDの腎保護作用を損ねる:腎臓病における負のスパイラル
Defective renal maintenance of the vitamin D endocrine system impairs vitamin D renoprotection: a downward spiral in kidney disease.
Dusso AS & Tokumoto M. Kidney Int 79: 715-29, 2011
【ポイント】
活性型ビタミンDには腎保護作用があるが、腎障害ではビタミンD活性化障害が生じるため、悪循環を形成し腎臓病が進展することが考えられる。現時点ではこれを検証した臨床研究はなく、RCTが求められる。

詳細はこちら

 

透析患者における活性型ビタミンDと急性呼吸器感染症
Active Vitamin D and Acute Respiratory Infections in Dialysis Patients
Tsujimoto Y, et al. Clin J Am Soc Nephrol 6: 1361-1367, 2011
【ポイント】
活性型ビタミンDには免疫調整作用がある。透析患者508例の5年に渡る観察コホート研究で、活性型ビタミンD製剤投与群は非投与群に比較し、入院を要す る急性呼吸器感染症リスクが低い(多変量調整後HR 0.47, 95%CI 0.25~0.90)ことが示された。

詳細はこちら

 

短期間のVDR活性化による血清Cr値の上昇は、Cr産生を増加させるためであり、GFRへの影響はない
Short-term vitamin D receptor activation increases serum creatinine due to increased production with no effect on the glomerular filtration rate
Agarwal R, et al. Kidney Int. 80, 1073-1079, 2011
【ポイント】
活性型ビタミンD治療中に血清Cr値が上昇することをしばしば経験する。本研究ではCKD患者16例に対し、2μg/dayのパリカルシトールを3連日経口投与した。血清Crは上昇した。しかし、尿中Cr排泄も上昇、Crクリアランスも iothalamateクリアランスも変化しなかった。この血清Cr上昇はCr産生亢進によるもので、腎機能低下ではないと考えられる。

詳細はこちら

 

貧血合併高齢者における25(OH)D欠乏の頻度:炎症にともなう貧血との関連
Prevalence of 25-hydroxyvitamin D deficiency in subgroups of elderly persons with anemia: association with anemia of inflammation
Perlstein TS, et al. Blood 117: 2800-2806, 2011
【ポイント】
NHANESのデータベースから25(OH)D濃度と貧血検査のある60歳以上の約1万人を抽出し、両者の関連を検討した。25(OH)Dレベル<20ng/mLでは貧血頻度が高く、貧血のタイプでは炎症に伴う貧血との関連が認められた。

詳細はこちら

 

CKDにおけるレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系とビタミンD-FGF-23-klothoの間のクロストーク
Cross talk between the renin-angiotensin-aldosterone system and vitamin D-FGF-23-klotho in chronic kidney disease
de Borst MH, et al. J Am Soc Nephrol 22: 1603-9, 2011
【ポイント】
CKDでは1α水酸化酵素活性の低下によりレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)が活性化され、これは腎臓でのKlotho発現を減少させる。FGF-23作用が低下し、FGF-23レベルが上昇すると、1α水酸化酵素活性が更に低下し、悪循環に入る。この総説では、RAASとVD-FGF23-klotho axisとの相互作用の進行性CKDにおける重要性について考察している。

詳細はこちら

 

二次性副甲状腺機能亢進症治療におけるアルファカルシドールとパリカルシトールの比較:ランダム化クロスオーバー試験
No difference between alfacalcidol and paricalcitol in the treatment of secondary hyperparathyroidism in hemodialysis patients: a randomized crossover trial
Hansen D, et al. Kidney Int 80: 841-50, 2011
【ポイント】
30%以上のPTH低下率を示す割合は両群で差がなく、高カルシウム血症頻度にも差がなかった。

詳細はこちら

 

経口コレカルシフェロール投与はRAAS抑制薬投与中の2型糖尿病腎症患者におけるアルブミン尿と尿中TGFβ1を低下させる
Oral cholecalciferol decreases albuminuria and urinary TGF-beta1 in patients with type 2 diabetic nephropathy on established renin-angiotensin-aldosterone system inhibition
Kim MJ, et al. Kidney Int 80: 851-60, 2011
【ポイント】
25(OH)D濃度が欠乏~不十分レベル(<32ng/mL)の患者54症例に対してコレカルシフェロール40,000単位/日を投与して、アルブミン尿と尿中TGFβ1の変化をみた前向きオープンラベルの観察研究。

詳細はこちら