ビタミンDと腎臓に関する文献 2009年

ビタミンD使用血液透析患者におけるSurvival Advantageに対する疑問:DOPPSの所見
The survival advantage for haemodialysis patients taking vitamin D is questioned: findings from the Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study.
Tentori F, et al. Nephrol Dial Transplant 24: 963-972, 2009
【ポイント】
1996年から2007年の12カ国からなる3DOPPSコホートの解析。ビタミンD使用と死亡リスクとの関連を詳細に検討。
(1)標準的なCox回帰分析を行い、調整因子なしの場合はビタミンD使用群で14%死亡リスクが低く統計学的に有意。これを人口統計因子で調整してしてもなお有意。更に合併症や臨床検査値で調整を加えると有意ではなくなった。
(2)周辺構造モデル(marginal structural model)を用いて解析すると、16%死亡リスクが有意に低かった。
(3)4カ月ごとの処方状況に基づき使用群・非使用群のラベルの更新を繰り返すTime-varyingな解析では、調整の有無にかかわらず、また周辺構造モデルを用いても、ビタミンD使用は低い死亡リスクと有意に関連。
(4)患者単位ではなく、施設単位で検討。活性型ビタミンD処方患者の割合が高い施設と低い施設では、死亡リスクに差がなかった。

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血清25(OH)D濃度は冠動脈石灰化リスクと逆相関する
25-hydroxyvitamin D levels inversely associate with risk for developing coronary artery calcification
de Boer IH, et al. J Am Soc Nephrol 20: 1805-1812, 2009
【ポイント】
CKD患者394例を含む1370例のMESAコホートにおいて、冠動脈石灰化新規発生リスクは、25(OH)D濃度と逆相関し、多変量調整でも有意であった。1,25(OH)2D濃度とは有意な関連を示さなかった。

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血中ビタミンDレベルとCKD患者の死亡率
Vitamin D levels and patient outcome in chronic kidney disease
Ravani P, et al. Kidney Int. 75: 88-95, 2009
【ポイント】
CKD stage 2-5(N=168)における48カ月の観察コホート。血中25(OH)D濃度はeGFRと相関し、死亡や透析開始の予測因子。eGFRを含む諸変量で調整した多変量解析Cox解析でも、独立した予測因子。

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CKDにおいてビタミンDは血管石灰化とは独立して生存に影響する
Vitamin D affects survival independently of vascular calcification in chronic kidney disease
Barreto DV, et al. Clin J Am Soc Nephrol 4: 1128-1135, 2009
【ポイント】
CKD stage 2-5(N=140)における18カ月の観察コホート。血中25(OH)D低値は高い死亡率と関連、血管石灰化・PWVで調整しても有意で独立。

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血液透析患者における死亡に対する非古典的危険因子としてのビタミンD
Vitamin D as a novel nontraditional risk factor for mortality in hemodialysis patients
Pecovnik-Balon B, et al. Ther Apher Dial. 13: 268-272, 2009
【ポイント】
症例の血液透析患者で血中25D濃度を測定し50nmol/Lで2群に分けた。Kaplan-Meier法では25D濃度低値は予後予測因子であったが、多変量Cox解析ではPTHのみが有意となった。

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CKDにおける臨床的アウトカムと活性型 vs 栄養学的ビタミンD
Clinical Outcomes with Active versus Nutritional Vitamin D Compounds in Chronic Kidney Disease
Kalantar-Zadeh K and Kovesdy CP. Clin J Am Soc Nephrol 4: 1529-1539, 2009
【ポイント】
CKDにおけるビタミンDとsurvival benefitの関連について、活性型ビタミンDとビタミンD栄養指標としての25(OH)Dを対比した総説。ビタミンD製剤の特徴を比較し、疫学研究を展望しつつ、生命予後改善を目的とした場合にどのような薬剤を選択すべきかを考察。

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欧州の中年および高齢男性における血中25(OH)Dレベルと認知機能の関連
Association between 25-hydroxyvitamin D levels and cognitive performance in middle-aged and older European men
Lee DM, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 80: 722-729, 2009
【ポイント】
European Male Aging Studyの40~79歳の男性3,133例における断面調査において、25(OH)D濃度と認知機能との関連を調べた結果、25(OH)D濃度の低い群でDigit Symbol Substitution Test (DSST)でみた認知機能が低く、多変量調節でも独立していた。

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スタチンに関するRCTの結果はスタチン処方に影響しなかった
Results of a randomized controlled trial on statin use in dialysis patients had no influence on statin prescription.
Lam, N. N. et al. Kidney Int 76: 1172-1179, 2009
【ポイント】
2005年に論文発表された糖尿病透析患者におけるアトルバスタチンを用いたRCT(4D試験)の前後で、スタチン処方率がどう変化したかを、カナダのオンタリオで調査した。透析していない糖尿病患者での処方率は、1994年以降徐々に増加し4D試験発表後も増加し続けていた。透析中の糖尿病患者でも同様で、1000人当たり597人から676人に増加が続いていた。

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慢性腎臓病を有する冠動脈疾患患者の冠動脈石灰化
Coronary calcification in patients with chronic kidney disease and coronary artery disease
Nakamura S, et al. Clin J Am Soc Nephrol 4: 1892-1900, 2009
【ポイント】
国立循環器病センターにおいて冠動脈疾患で死亡した剖検例を対象に、冠動脈内膜石灰化、中膜石灰化を検討した。内膜石灰化は腎障害のない患者でも認められた。一方、中膜石灰化はCKD4/5, 5Dのみで認められ、危険因子は炭酸Ca使用、透析の有無、透析歴であった。

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透析を要する慢性腎臓病患者に対するビタミンD化合物
Vitamin D compounds for people with chronic kidney disease requiring dialysis.
Palmer SC, et al. Cochrane Database Syst Rev. 4: CD005633, 2009
【ポイント】
診療ガイドラインでは、CKD患者のPTHレベルを低下させるためにビタミンDを推奨しているが、Ca、Pを上昇させることがあり、死亡率を高める可能性がある。一方、観察研究では、これらとは独立してビタミンDは低い死亡率と関連している。この総説では、CochraneのCENTRAL, MEDLINE, EMBASEなどのデータベースから抽出した透析患者における60のRCT(2773症例)によるメタ解析である。プラセボに比較してビタミンD化合物投与が、PTHを下げるか(yes)、Caを上げるか(yes)、Pを上げるか(yes)、ビタミンDアナログ製剤といわゆる活性型ビタミンD製剤との比較はどうか、死亡率にはどうか(十分なパワーがない)などが検討されている。

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ビタミンD受容体遺伝子多型は末期腎臓病患者の左心室重量と左室肥大進行に関連する
Vitamin D Receptor (VDR) Gene Polymorphism is Associated with Left Ventricular (LV) Mass and Predicts LVH Progression in End Stage Renal Disease (ESRD) Patients
Testa A, et al. J Bone Miner Res. 25: 313-319, 2009
【ポイント】
イタリアのZoccaliのグループによる報告。182症例の透析コホートにおいて、VDR遺伝子Bsml多型のBアレル数はLVMIと正相関し、多変量解析でも有意であった。18カ月の追跡でLVMIは増加し、Bアレル数と関連した。これらは、ビタミンDシグナル伝達は左室肥大に重要であるとの仮説を支持する結果である。

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CKD患者におけるインスリン抵抗性・炎症に対する25(OH)D欠乏の意義:ランダム化比較試験
The role of 25-hydroxyvitamin D deficiency in promoting insulin resistance and inflammation in patients with chronic kidney disease: a randomised controlled trial
Petchey WG, et al. BMC Nephrol. 10: 10-41, 2009
【ポイント】
ビタミンD欠乏とインスリン抵抗性、炎症が関連するとの観察研究がある。本論文は、コレカルシフェロール2000 IU/day内服による効果をプラセボと比較するRCTの試験計画論文である。CKD stage 3患者51を1:1に無作為割付し、グルコースクランプ法、血清バイオパーカーで評価する。

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NHANES3における血中25(OH)D濃度と上気道感染の関連
Association between serum 25-hydroxyvitamin D level and upper respiratory tract infection in the Third National Health and Nutrition Examination Survey.
Ginde AA, et al. Arch Intern Med 169: 384-390, 2009
【ポイント】
米国の第三次国民健康栄養調査(NHANES3)に参加した12歳以上の18,883人を対象に、血中25(OH)D濃度と最近の上気道感染の関連を調べたところ、25(OH)D濃度が低い群で上気道感染のリスクが有意に高かった。

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