顧問

nishizawa

 

 

 

J-DAVID研究会顧問
大阪市立大学
西 沢 良 記


私は長年J-DAVID研究会代表世話人を務めさせていただきましたが、教授職から大学経営へと立場が変わったこともあり、後任を稲葉雅章教授にお願いし、私自身は顧問に退くこととし、昨年のJ-DAVID世話人・幹事会でもご承認いただきました。今回、「顧問からのメッセージ」を書くように依頼されましたので、この間の歴史を振り返ることにいたしました。 J-DAVID試験で検証しようとしている仮説は、透析患者において活性型ビタミンDを投与することは心血管疾患を抑制することにつながるというものであります。このような仮説をもつことになりましたのは、大阪市立大学グループからの報告によるコホート研究の結果によるところからです。242人の血液透析患者を5年間追跡したという小規模な観察コホート研究ですが、心血管疾患による死亡のリスクが、活性型ビタミンD非使用群に比較し、内服群でおよそ半分になっているというもので、これはNDTの2004年1月号に掲載されました。今年はこの論文がでてちょうど10年目にあたります。その後、大規模なコホート研究が国内および海外から続出し、活性型ビタミンD使用群では総死亡リスクが低いということが確認されるようになりました。 当時、その目で過去の文献をひもときますと、ビタミンDのシグナルはRAS系を抑制することが知られていましたし、心肥大抑制効果、糖代謝や脂質代謝に対する好影響、免疫能調整・抗炎症作用など、観察コホートの結果を説明するに足る機序があることがわかりましたので、介入試験で確認する価値があると考えておりました。そこで、J-DAVID試験を計画し、御賛同いただける諸先生方とともに現在のJ-DAVID研究会になる研究グループを発足させ、2回のプロトコール会議を経て計画を練り上げました。2008年には研究会会則を制定し、日本腎臓財団に研究助成を申請し、第53回日本透析医学会学術集会(神戸)にて研究計画を公表、第1回世話人・幹事会を開催し、8月に第1例のご登録をいただきました。その後もさらに多くの先生方にご協力いただきながら、2011年1月に976人目となる最終症例の登録をいただき、972人の目標症例数を達成することができました。それからすでに3年が経過し、観察期間は残り1年を残すのみとなりました。 この間、PTH抑制のためにシナカルセトが上市され、P吸着薬として炭酸ランタンやビキサロマーも登場し、透析患者のCKD-MBD管理手段が増えました。透析医学会の診療ガイドラインも2006年版から2012年版へと進化し、透析の日常診療は益々レベルアップしてきていると思われます。そのような中におきましても、透析医療における活性型ビタミンDの位置づけは、常に古くて新しい問題であり続けています。J-DAVID試験が完遂され、ビタミンDのエビデンスを世界に先駆けて日本から発信できますよう、引き続きご支援賜りますよう、お願い申し上げます。